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アメリカ在住のテレビ評論家・三村めぐみさんが語る『グッド・ワイフ』のおもしろさ

「今、一番好きなドラマは?」とよく聞かれますが、答えは2009年から一貫して『グッドワイフ』です。

 

 

仕事柄、何百本もドラマを観てきましたが、女の自立をここまで見事に描いた作品は、後にも先にも『グッドワイフ』しかありません。それほど、ユニークで構想、脚本、配役、演技、どれをとっても類を見ない第一級ドラマです。

 

2008~09年、政府高官の一連のセックス・スキャンダルが大いに米国メディアを賑わしました。記者会見の映像には、夫の背後に立っている無表情な奥方の姿が必ずあります。クリエイターのキング夫妻が目をつけたのは、消え入りそうに立っていた夫人達の胸の内。何事もなかったかのように、元の鞘に収まるのでしょうか?夫を捨てて、我が道を行くのでしょうか?

 

 

「天と地がひっくり返った時こそ、人間が成長する又とない機会」を信条とするキング夫妻の構想は、良妻賢母アリシア・フローリック(ジュリアナ・マルグリース)が、社会(法曹界と政界)の荒波に揉まれて、人間として、弁護士として成長して行く過程を描くことでした。

 

私利私欲など欠片(かけら)もないナイーブなアリシアが、野心満々の夫ピーター(クリス・ノス)が引き起こした‘大地震’で足場を失い、昔取った杵柄(きねづか)で子供を育てようとしますが、自立への道は常に‘余震’続き。職場も、夫婦関係も決して安定することはなく、波風を立てずに生きたい古風なアリシアの心が安まることがありません。

 

男に振り回され自分を殺して生きてきた女性必見!

 

 

いかに個性的なキャラクターでも、シリーズ開始時と完了時とが同じでは旅路に同行する意味がありません。ですが、全てアリシアの視点から描かれる「グッドワイフ」は、男に裏切られ自立を余儀なくされた女性には学ぶこと満載の自立読本全7巻仕立てになっているので、ゆっくり勉強できるドラマです。

 

背景に、どんでん返しやとんちの効いた法廷ドラマ、政界のドロ沼や裏工作、色恋沙汰も配置されているので、アリシアがしたたかで冷めた敏腕弁護士になるまでの旅路と並行して楽しむことができます。

 

男の都合、野心、身勝手に振り回され、自分を殺して生きてきた女性必見!の秀作です。

 

洗練された衣装も見どころの一つ

 

 

余談ながら、もう一つの楽しみは、アリシア、法律事務所の大先輩ダイアン・ロックハート(クリスティーン・バランスキー)たちの洗練された衣装の数々を鑑賞することです。

 

シーズン1は、アリシア(40代)が専業主婦から職場に復帰する設定ですから、デザイナースーツは控え、黒や紺のブレザー+スカート/パンツに抑え、現実感を出すために同じ衣装を着回しすると言う念の入れようでした。シーズン2以降、色物やブランドものが加えられ、女らしさを強調するフリルなどがふんだんに使われるようになりました。

 

 

一方、ビジネスオーナーのダイアン(50代)は独身貴族ですから、大柄、メタリックなど大胆で高級感のあるデザイナースーツを取っ替え引っ換えします。元ダンサーのバランスキーの細身と長い足を強調するスカートが多く、大ぶりのアクセサリーがふんだんに使われています。

 

キャリアウーマンに大人気のアリシアとダイアン風スーツやブレザーを手頃な価格で量販すると言う話もあったのですが、結局実現しませんでした。

 

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文章/三村めぐみ